Mac OS X 10.6 (Snow Leopard)

パフォーマンスおよび安定性の向上を行ったMac OS X Snow Leopardが2009年8月28日に発売されるのを受け、安全に安定したシステム環境構築するための手順、新機能の使い方およびインストールしたことによって起こる不具合などの対処法をまとめていこうと思います。

ご意見や情報などがありましたら メールフォーム または Twitter を利用して広く受け付けております。

note: このウェブページは私的環境に基づいてメモ代わりに書いています。

クリーンインストール前の下準備

  • Time Machine でのバックアップ
  • SuperDuper! でのディスクイメージバックアップ (フルバックアップを行うこと)
  • クラウドディスクストレージへのバックアップおよび確認
  • MobileMe の同期
  • Adobe 関連の認証解除
  • iTunes Store の認証解除
  • 不可視ファイル/フォルダの復旧準備
  • デベロッパの対応状況を確認 (Snow Leopard Compatibility List)

動作環境

Mac OS X 10.6 (Snow Leopard)技術仕様に書かれているように「Intelプロセッサを搭載したMac」に限定されるようになりました。残念なことにこれからは「PowerPCプロセッサを搭載したMac」では稼働しないということになります。PowerPCプロセッサ搭載Macを使い続ける状況の方は、入手が難しくなる前にMac OS X 10.5 (Leopard)を手元に置いておくことをお勧めします。できれば、10.5.6システムディスクの方。

所有しているMacが、どちらのプロセッサを搭載しているかは[アップルメニュー => この Mac について]から調べることができますので、システムディスクを購入する前に確認しておきましょう。せっかく買ったのにインストールできない状況に涙目ということにならないように!! :)

なお、Snow Leopardでは64ビットカーネルに対応しているがデフォルトで64ビット起動するのは一部の機種に限られる。比較的新しい機種では、64ビット起動が準備されているもののデフォルトで32ビット起動するようになる。ビットモード切り替えは、起動時に「6」「4」または「3」「2」の同時押しによって行われる。

64ビット起動が可能かを調べるには

$ ioreg -l -p IODeviceTree | grep firmware-abi

コマンドを実行します。コマンド結果に"EFI64"と表示されれば起動可能と判断します。

システムのクリーンインストール

一部のインストールDVDディスクに不良があるようです。症状としては、インストーラが起動してインストール手順まで進めるものの「Mac OS X Install DVDを読み出せませんでした。注意してディスクを清掃してから、もう一度インストールしてみてください。」とエラーが表示されてインストールを完了できない。このような時はアップルストアヘルプまたは購入店へ電話して商品を交換してもらうように依頼する。

クリーンインストールとは、ハードディスクおよびシステム起動に使用するデバイスを初期化してデータが何もない状態から行うインストールです。既存のデータはバックアップを起動ディスク以外のところへ保存して新たな起動ディスクへ書き戻す手順になります。

上書きインストールではなく、なぜクリーンインストールなのか?

リリースされて間もないシステムではどこに問題を抱えているのかわからない状態です。アップルが時間をかけて検証していてもどこかに見落としている部分が残っているかもしれません。上書きインストール直後は正常に動いているように見えるシステムも時間が経過して何となく調子が悪くなったりします。しかし、どこに問題があるのかが解りにくいのでクリーンインストールしてシステムを再構築することになります。

クリーンインストールは、遠回りに見えて案外近道なのかもしれません。

ただ、アプリケーションデータが保存されている場所や各種データの場所を知っていないと元通りに戻すことが難しいかもしれません。なので、Macのシステム構築に経験と自信のある方向けの手順になります。

おまけとして、ディスクの肥やしとなっていたアプリケーションや設定データをクリアにできますのですっきりとしたシステムを構築できます。

新機能

Mac OS X LeopardをブラッシュアップしたSnow Leopardですが表面的な見た目に違いを発見するのは難しいことでしょう。しかし、Mac OS Xを構成する1000以上あるプロジェクトの90%に何らかの手を加えられて実装されています。Leopardとは別物と云ってもいいくらいです。目を細めながら見渡すと小さな変更を見つけられて楽しいです。

64ビット

アップルはユーザに意識させることなく32ビットから64ビットの世界へ移行しようと考えています。これまでにも、PowerPCプロセッサへの移行、Intelプロセッサへの移行、などはユーザに余計な手間や負担をかけずに行ってきました。ユーザは知らず知らずのうちに最適な環境を手に入れてきたのです。

これからも同様に32ビットから64ビットへの移行は気づかないうちに終わっていることでしょう。64ビットの下準備はMac OS X Tigerの時代から始まっていてMac OS X Snow Leopardで完成形になったといえます。これからのモダンなアプリケーションは32ビットモードと64ビットモードのリソースを内蔵していて64ビットモードで稼働できるようになっています。

Windows OSの影響か、よく誤解されているのが64ビットカーネルで起動しなければ64ビットアプリケーションを利用できないと思われています。しかし、32ビットカーネルで起動したMacでも64ビットアプリケーションは利用できますので安心してください。

64ビットアプリケーションは、強靭な安定性とパフォーマンスの向上を望めます。

しかし、64ビットになり広いメモリ空間を利用できるようになったとしても、ほとんどのユーザは4GBから8GBくらいのメモリしか積んでいないのではないでしょうか。64ビットアプリケーションがメモリを使おうとしても限られたメモリしかない状況では実力を発揮するのは難しいでしょうね。

将来、本格的な64ビット時代到来に備えて必要な準備をしている段階かも知れません。

Apple Menlo Font

TerminalやXcodeの標準フォントとして採用されたモノスペースフォント。お気に入りのBitstream Vera Sans Monoをベースに作られたらしい。

HFS+ file systemに変化あり

アップルはSnow Leopardをインストールすると7GBのディスク容量を節約できると公表しています。しかし、実際にSnow Leopardをインストールしてみると環境によって7GB以上のディスク容量が減少していることに気づくと思います。ユーザによっては20GBくらいの節約ができたと聞いたりします。Mac OS Xに関わるコードをスリム化したとしても使われている技術は一緒なのでそれほどの減少は期待できないと思っていたところ、ファイル圧縮技術が使われていると聞いて納得です。

詳しく書かれた技術文章が見つからないので、どのような仕組みで行われているのかは今のところ解っていません。WWDCで発表されていたことらしいのですが気がつきませんでした。

圧縮状態を調べるには afsctool コマンドを使うことで可能なようです。

$ afsctool --help
Report if file is HFS+ compressed:                        afsctool [-v] file
Report if folder contains HFS+ compressed files:          afsctool [-v] folder
List HFS+ compressed files in folder:                     afsctool -l[vv] folder
Decompress HFS+ compressed file or folder:                afsctool -d file/folder
Create archive file with compressed data in data fork:    afsctool -a[de] src dst
Extract HFS+ compression archive to file:                 afsctool -x[d] src dst
Apply HFS+ compression to file or folder:                 afsctool -c[lvv] [maxFileSize] file/folder
update: 2009-09-11T02:43:04+09:00

Snow Leopardではクリエイタが無視される

これまでのようにクリエイタで特定のアプリケーションを開くことができなくなりました。

不具合

Snow Leopardインストールによる不具合情報

Mail.appが起動しない

プラグインをアンインストールもしくはデータベースの作り直しで完治する

  • ~/Library/Mail/Bundles にあるプラグインを取り除き再起動
  • ~/Library/Mail/Envelope Index ファイルをゴミ箱へ移動後再起動

Flash Playerを再インストール

-- Mac OS X 10.6.1 アップデートで最新版Flashがインストールされる

Snow Leopardをインストールすると、脆弱性が解消されていないFlash Player 10.0.23.1がインストールされてしまう。Flashが最新バージョンの10.0.32.18になっているかどうか確認し、最新になっていない場合は直ちにFlash Playerをアップデートすることをお勧めします。

Snow Leopardのフォントスムージング

Snow Leopardでは、他社製モニターを使用するとフォントスムージングされない現象があるようです。しかも、Leopardからアピアランスシステム環境設定の仕様変更によりフォントスムージングを選択するポップアップメニューが省略されたためコマンドラインから直接設定情報を書き込むしかないようです。

defaults -currentHost write -globalDomain AppleFontSmoothing -int 2

設定値は1から4まであるようで2が最適な値のようです。しかし、Mac OS X 10.6.1で修正されるようなのでお急ぎでない方は静観しておくといいでしょう。

データ消失問題

ゲストアカウントでログイン後、通常アカウントへログインするとホームディレクトリのデータが失われる問題がある。